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免震装置関連出願中特許

ZEN02-T002
導電性球体スイッチ及び電磁弁を作動させる着磁電源回路から構成されるUPS(無停電電源)回路とから成る免震機能回復重力作動機構およびそれらを用いた軽量免震構造体

弊社にて出願中の免震装置関連特許についてご説明します。
弊社では、関心をお寄せの企業・個人に対し、特許の占有実施権、あるいは通常実施権の供与を考えています。以下の特許技術にご関心がおありのかたは、ぜひご連絡をお寄せください。


<出願中特許>
複数個球体二重転がり支承体及び過変位抑制機構から成る免震装置、及び他の油圧装置又は積層ゴム装置との組み合わせによる免震構造体
書誌
明細書
発明の詳細な説明
図面/図面の簡単な説明

【書類名】   特許願
【整理番号】  ZEN02−T001
【提出日】   平成14年5月9日
【あて先】   特許庁長官 殿

【書類名】  明細書                     
【発明の名称】 
複数個球体二重転がり支承体及び過変位抑制機構から成る免震装置、及び他の油圧装置又は積層ゴム装置との組み合わせによる免震構造体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建屋荷重を支える複数個の球体(ボールベアリング)を、建屋の異なる荷重の隅柱、側柱、中央柱下に、1球体当りの支持荷重を一様になるようその荷重に比例した数の球体を装填した支承体と、地震時の動きの中で、その支承体の球体(ボールベアリング)同士がお互いに接近せぬように設けた穴開き中間板(スペーサー)とから形成されていることを特徴とする複数個球体二重転がり支承体。
【請求項2】
地震時に、請求項1の中間板(スペーサー)が慣性力により二重転がり支承体の上皿(平板)と球体との接触面に挟まれることのないよう、中間板(スペーサー)開口部に装填された球体を上部から押さえるリング状ケーシングを取り付けたことを特徴とする複数個球体二重転がり支承体。
【請求項3】
球体(ボールベアリング)とケーシング間の摩擦、また軋み音を減ずるためのリング状ケーシング裏側にトライポロジー技術の四フッ化樹脂(PTFE)等を圧着したコーテイングリムを備えたことを特徴とする複数個球体二重転がり支承体。
【請求項4】
二重転がり支承体の構造体本体の上皿(平板)また基礎の下皿(平板)と中間板(スペーサー)の隙間の上下2層に、かつ球体(ボールベアリング)群の中心に、地震時における転がり過変位を抑制する摺動摩擦負荷材に四フッ化樹脂(PTFE)を圧着し、その面圧調整可能な積(単)層ゴムまたは機械的バネ機構を取り付けることを特徴とする過変位抑制機構。
【請求項5】
請求項1、2、3を組み合わせた二重転がり支承体と請求項4の過変位抑制機構の組み合わせにより免震効果を機能することを特徴とする免震構造物。 また請求項1、2、3の組み合わせと、請求項4に代わる他の油圧装置又は積層ゴム装置との組み合わせにより免震効果を機能することを特徴とする免震構造物。


【発明の詳細な説明】                        
【0001】
【発明の属する技術分野】 
本発明は、建築構造物の中でも軽量な戸建住宅及びコンピュータ室、美術館などコンピュータ機器および美術品などの水平動及び転倒を嫌う用途の建築物の免震のために供される二重転がり支承体及び油圧装置又は積層ゴム装置との組み合わせによる免震構造物。
【0002】
【従来の技術】
構造物の免震構造は基本的には構造物の重力(鉛直力)を支える機構と地震力(水平
力)に対し構造物と基礎との間に水平剛性を低く押さえ長周期化する機構の両者から構成され、この構成された機構を免震装置(免震システム)と呼称している。 この免震装置には鉛直力に耐える機構と水平力をうけ流す機構が、一体になった装置(免震システム)と両者の機構が独立に、かつ並列に構成された装置(免震システム)とがある。 
それらが構造物と基礎との間に設けられ地震から免れる免震構造システムを構成して
いる。 
【0003】
前者には積層ゴム免震装置があり、又後者には球体(ボールベアリング)を用いた湿
式又は乾式の一重又は二重転がり支承体などが提案されている。 軽量な戸建住宅及びコンピュータ室、美術館などコンピュータ機器および美術品などの水平動及び転倒を嫌う用途の建築物には、後者の球体を用いた湿式又は乾式の一重又は二重転がり支承体が用いられ、球体を用いた二重転がり支承体には、過変位抑制機構として油圧装置又は積層ゴム装置が並列に組み合わされている。
【0004】
球体(ボールベアリング)を用いた場合の支承体は、球体が転がる皿が基礎側に1枚敷かれた場合と球体が転がる皿が上部構造体側と基礎側に1枚づつ、都合2枚敷かれた場合とがある。 前者では上部構造体にケーシングが固定されており、機構は二重ボールベアリングか、または湿式転がり又は乾式転がりのいずれかの方式である。  いずれにしてもループベアリング機構などを除き、球体の数は1つである。
【0005】
戸建住宅の隅柱、側柱、中央柱下に従来型の1球体(ボールベアリング)支承体を用いた場合、隅柱、側柱、中央柱の支配面積に応じて、支承体が受ける荷重は異なってくる。 建屋下部構造体にもよるが、支承体の球体1つが受け持つ荷重は概ね、隅柱で1トンから2トン、側柱で2トンから4トン、中央柱で6トンから8トンに及び、特に、側柱、中央柱の応力集中が大きく、球体及び受け皿の磨耗、圧痕は避けられない。 ま
                                    (4)
た、隅柱、側柱、中央柱下の接触支圧力、摩擦力が異なってくる結果、ビル物に比べ、
軽量な戸建住宅の場合、その免震設計における建屋全体重量と支承体の数、配置の関係が漠然としたものとなっている。
【0006】
二重ボールベアリング機構又は二重皿免震支承体は、入力地震時の入力加速度に対する建物の応答加速度の比(入力地震加速度の低減率)は概ね、1/6−1/8、1重皿湿式転がり又は乾式転がり免震支承体では1/3−1/4となっている。 その結果、応答変位は、おおよそ前者は後者の倍となり、前者は変位を押さえるための減衰装置として油圧又は積層ゴム装置を必要とする。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
球体と平面についてのヘルツの弾性接触理論によると、球体(ボールベアリング)と皿(平板)の接触面積はそれら鋼材の弾性係数E1、E2及びポアソン比ν1、ν2にも係るが、球体が受ける荷重Wと球体の半径Rの積の1/3乗に比例する。 また接触支圧力は球体が受ける荷重Wの1/3乗に比例し、球体の半径Rの2/3乗に逆比例する。
【0008】
ヘルツの弾性接触理論により、従来型の1球体(ボールベアリング)支承体の場合、球体を単体で用いているため、球体と受け皿が点接触となり、応力集中は大きく、それを回避するために、球体の径を大きくする事、また受け皿の鋼材についても強い強度の材料が必要とされる。 それゆえ、球体の数を増し、球体と受け皿間の応力集中の緩和が課題となる。
【0009】
球体(ボールベアリング)を単体で用いた場合の二重ボールベアリング支承体は、免震性能の面では良いが、機構が複雑となる。 本発明は、鉛直荷重に比例した複数個の球体を用いることにより、応力集中による受け皿の損傷を避け、また材料も通常の強度のものを用いることが出来るが、複数個の球体を用いると、球体間の衝突が問題となり、機構として同一径の球体を合い接近せぬような工夫が課題となる。 
【0010】
また、本装置は図1に示すように、二重受け皿の転がり装置であるため、免震性能(地震入力加速度低減性能)は良い分、地震時における構造物と基礎との相対変位が大きくなる。 それゆえ、変位抑制のための減衰装置として他の油圧又は積層ゴム装置との併用が必要となる。 その簡易な代用として、過変位抑制摩擦減衰機構2をクローズドした免震システムとして、過大な変位を回避し、また転がり変位を調整する摺動摩擦減衰機構を備えさせることが課題となる。 
                                 (5)
【0011】
【課題を解決するための手段】                    
地震時に図1上下2枚4、5の皿間に摺動する複数個の球体(ボールベアリング)1を任意に配置すると、地震時に当初の位置を変え、また球体同士の衝突の恐れが有る。 このため、図1、図2に示すように球体を納める中間板(スペーサー)3を設け、地震時に摺動する複数個の球体がお互いにぶつかることなく、また合い接近せぬように転がる手段を講じる。  
【0012】
この中間板(スペーサー)3に建屋の隅柱、側柱、中央柱の支配面積(軸力の大きさ)に比例して必要な球体(ボールベアリング)の数だけ、図2に示すように円周上に等間隔に穴を開け、その穴に球体を納める。 この中間板3により、複数個の球体1は、地震時に最初に設定したお互いの距離を保ち、かつ球体同士が衝突することなく摺動する。 また球体同士が当初の距離を保持するため、建屋から流れてくる軸力を支承体内の各球体が同じ支圧力を受けることを可能ならしめる。  
【0013】
この中間板(スペーサー)3は、鋼板で出来ており、ある重さを有している。 その結果、以下の2つの点が危惧される。 
【0014】
1つは、地震時に、この中間板(スペーサー)3は慣性力をもち、建屋が左右に動き、動きが反転する際、この慣性力の球体面の接線方向の成分力により、この中間板3は持ち上がり、上部構造体にセットされた上皿4と球体1間に挟まれ、球体1がこの中間板3から外れ、免震装置としての機能を果たさなくなる恐れがある。 
  【0015】
他の1つは、地震時に球体1と中間板3は相互に、擦れ合い、球体1と中間板3は相互に磨耗しあう恐れがある。
【0016】
前者の恐れに対しては、図2、図3に示すように球体を納めるケーシング6を設ける。 これにより、中間板(スペーサー)3が上部構造体にセットされた上皿4と球体1の間に挟まれる前に、ケーシング6頂部が上部構造体上皿4に当り、上皿4と球体1の間に挟まれることはない。
【0017】
後者の恐れに対しては、図3に示すように球体1を納めるケーシング6の裏側に球体1(ボールベアリング)とケーシング6間の摩擦、また軋み音を減ずるためのトライポロジー技術の四フッ化樹脂(PTFE)7を焼きつけたコーテイングリムを装着することにより、直接球体1とケーシング6が触れることなくこの欠点を解決できる。
                                 (6)
【0018】
また、本装置図1は二重受け皿の転がり支承体であるため、免震性能(地震入力加速度低減性能)が良い分、地震時における構造物と基礎との相対変位は大きくなる。 それゆえ、過大な変位を抑制し、また転がり変位を調整するため、図4に示すように四フッ化樹脂(PTFE)を焼きつけた摺動摩擦弾性負荷バネ機構2を中間板(スペーサー)3の球体群中心部に備える。 
【0019】
この摺動摩擦変位抑制機構2は、図4に示すように四フッ化樹脂PTFE材を圧着した刷子8と扁平な弾性バネ9から構成されている。 この弾性バネ9は、ゴム単体、積層ゴム、機械的スプリングなどが考えられる。
【0020】
転がり過変位を抑制する摩擦力Fは摺動摩擦材に用いた四フッ化樹脂(PTFE)の摩擦係数と、その面圧調整可能な図4に示した摺動摩擦変位抑制機構2の中間に挟んだ単(積)層ゴムまたは機械的スプリングの弾性バネ9力の積で決まる。
【発明の実施の形態】
【0021】
 支配軸力に対して、図2に示すように、その大きさに比例した球体1の数を転がり皿間に装填すれば、1球体当りの応力は均等なしめることが出来る。 それにより、球体1と上下の皿(平板)4、5の接触圧は1球体支承体に比し、複数球体支承体1の接触圧は比例的に小さくすることが可能で、球体1の磨耗、上下皿4、5の圧痕を軽減できる。
【実施例】
   【0022】
 複数球体の配置は、図2に示すように外輪(半径:球体と中心の過変位制御装置の大きさにより決まる)円周上を球体個数Nで、放射状に均等に分割したようにように配置する。 この様に、球体を配置することにより、、建屋からの隅柱、側柱、中央柱下の球体に懸る異なる接触支圧力(軸力)を均等ならしめることが出来る。 
【0023】
 球体1と過変位制御装置2の中間板(スペーサー)3における平面配置の例、
例1. 球体数が3個の場合、図2の上に示すように、中間板(スペーサー)3の中心に過変位制御装置2を配置し、その外周に角度120度間隔に均等に球体1を3個配置する。 
例2. 球体数が5個の場合、図2下に示すように、中間板(スペーサー)3の中心に過変位制御装置2を配置し、その外周に角度72度間隔に均等に球体1を5個配置する。
同様に、球体数がN個の場合、中間板(スペーサー)3の中心に過変位制御装置2を配
                                    (7)
置し、その外周に角度(360/N)度間隔に均等に球体1をN個配置する。 また幾何学的に、球体1の数が多くなり、配置上無理が有る場合は、二重外輪状に配置する。
   【0024】
 中間板(スペーサー)3の球体1が納まる開口の穴径D2と球体(ボールベアリング)1の外径D1の関係は図3に示すように、
【0025】
【数1】
D2>D1 ・・・(1)
【0026】となる。 
【0027】
球体1群の中心にある過変位制御装置2を用いない場合、(他の油圧装置又は積層ゴム装置との組み合わせにより免震効果を機能するシステムとする場合)、中間板(スペーサー)3が離脱落下しないように、図3に示すように、中間板(スペーサー)3の開口部に外輪状にリング状ケーシング6を設ける。 茲に、球体1とリング状ケーシング6内側は密着するような、ほぼ同じ曲率とする。 
【0028】
また、このリング状ケーシング6は、地震時に、建屋が左右に反転し、球体1、中間板(スペーサー)3が転がり摺動する際、慣性力が働き、建屋下部に取り付く支承体上皿4と球体1の間に巻き込まれる事を回避する役目を果たす。 中間板(スペーサー)3から外輪状のリング状ケーシング6上端までの高さH2と中間板(スペーサー)3から上皿4までの高さH3との関係は、リング状ケーシング6上端が建屋下部に取り付く支承体上皿4に接触することを避けるために、 
【0029】
【数2】
H2<H3 ・・・(2)
   【0030】となる。
【0031】
 中間板(スペーサー)3の上下にセットした1組の変位制御装置2の無負荷状態での高さH1と球体の外径D1の関係は図4に示すように、 
   【0032】
【数3】
H1>D1 ・・・(3)
【0033】となる。
【0034】
H1とD1の差δは、 
                                    (8)
   【0035】
【数4】
δ=H1-D1 ・・・(4)
【0036】となる。
【0037】
式(4)は1支承体の球体群と過変位制御装置の軸力負担の配分比を決定する。 過変位制御装置の軸力負担の配分、すなわち支圧力Nと1組の過変位制御装置の摺動刷子の四フッ化樹脂(PTFE)を焼きつけた刷子の摩擦係数ηとの積、
   【0038】
【数5】
F=2xNxη ・・・(5)
【0039】が摩擦力となる。 
【0040】
この摩擦力は免震装置としての初動開始力と変位抑制性能を決定する。 過変位制御装置の平面形状は摺動時の方向性を持たせないため円形状とする。 
   【0041】
 建屋の総重量Wは建屋下部に配置された全ての球体総数ΣN1が負担する重量W1と全ての変位制御装置総数ΣN2が負担する重量W2に分配される。 
   【0042】
【数6】
W=W1+W2 ・・・(6)
   【0043】
【0044】
重量W1と重量W2の分配は式(4)のδで決定される。
1) H1<D1の場合は、W=W1で、免震システムは完全な二重皿転がり支承体となり、支承体の摩擦係数はη=0.0007前後となる。 
また、
2) H1>>D1の場合は、球体1と変位抑制性能2の剛性比に比例するが、免震システムは摩擦支承に近かづき、摩擦力は四フッ化樹脂(PTFE)の摩擦係数で決まりη=0.07前後となる。 
いずれにしても H1とD1の調整で、摩擦係数はη=0.07-0.0007の範囲で任意に設定できる。
【発明の効果】
【0045】
 従来の1球体の転がり支承と異なり、球体(ボールベアリング)1を複数個セットす
                                    (9)
ることにより、1球体当りの支圧力を一定にすることが可能となり、安定した免震システムを実現できる。 
   【0046】
球体(ボールベアリング)1を複数個セットすることにより、従来の1球体支承体に比較し支圧力を大幅に低減出来る事になり、支圧力を受ける球体1の摩耗、上下皿4、5の圧痕の軽減が出来る。 結果として、廉価な材質の仕様を可能にし、また、鋼材の焼き入れ、焼戻しなどの調質の手間を省くことができる。
   【0047】
 二重皿に球体1と過変位抑制機構2を一体にして組み込むことにより、変位の少ない免震システムを実現できる。 また過変位抑制機構2の代わりに、他の油圧装置又は積層ゴム装置との組み合わせによる免震システムも可能である。


【図面の簡単な説明】
【図1】複数個球体二重転がり支承体および過変位抑制機構から成る免震装置

【図2】中間板(スペーサー)に配置された複数個球体と過変位抑制機構

【図3】四フッ化樹脂(PTFE)を焼きつけたコーテイングリムを装着したリング状ケーシング

【図4】摩擦摺動変位抑制機構を構成する四フッ化樹脂PTFE材9を圧着した刷子と扁平な弾性バネのタイプ、ゴム単体、積層ゴム、機械的スプリング


【符号の説明】
1 ・・・球体また球体群
2 ・・・摺動摩擦過変位抑制機構
3 ・・・中間板(スペーサー)
4 ・・・球体を受ける二重皿の上板
5 ・・・球体を受ける二重皿の下板
6 ・・・リング状ケーシング
7 ・・・リング状ケーシング裏側のに焼きつけた四フッ化樹脂PTFE材
8 ・・・摺動摩擦過変位抑制機構刷子に焼きつけた四フッ化樹脂PTFE材
9 ・・・弾性バネのタイプ、ゴム単体、積層ゴム、機械的スプリング
10・・・摩擦摺動変位抑制機構刷子
H1・・・過変位制御装置の無負荷状態での高さH1
H2・・・中間板(スペーサー)からリング状ケーシング上端までの高さ
H3・・・中間板(スペーサー)から上皿までの高さ、
D1・・・球体の外径
D2・・・中間板(スペーサー)の穴径

 
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