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キャベンデイシュ ( Henry Cavendish 1731 – 1810 イギリス)

キャベンデイシュはフランスのNiceで生まれる。 貴族の出で、母方はケント公爵の家系で( Duke of Kent :Kent州はイングランドの東南部、現在のケント公爵Edward王子はエリザベス女王の従兄弟にあたる。 ケント公爵といえばテニスの4大トーナメントの一つウインブルトン・テニス ( Wimbledon tennis )大会に必ずご夫妻がお見えになる。)、父方はデヴォン公爵の家系で( Duke of Devonshire : Devon州はイングランドの南西部コーンウオール半島一帯)で、Normanの8世紀続いたGreat Britainの多くの貴族に結ばれている。 キャベンデイシュは代々の遺産を相続し個人としてはイングランドで有数の資産家であった。 キャベンデイシュの末裔が1870年代に母校のCambridge大学にCambridge Laboratoryを寄贈している。

キャベンデイシュは11歳でHackneyにあるDr.Newcome’s Schoolに入学する。 18歳でSt. Peter’s CollegeのCambridge大学に入学する。 キャベンデイシュは、はにかみ ( shay )やの奇人で自閉症( Asperger syndrome : 1944年にウイーンの医者Hans Aspergerが医学論文に発表した)であった。 特に女性を嫌い、夕食に羊の腿肉を食べたい時、自宅の女中にすら自ら口伝出来ず、メモに‘legs of mutton’が食べたいと書置きしたようです。 

キャベンデイシュの唯一の気晴らしのはけ口はRoyal Society Clubの会員が皆揃って、毎週開かれる会合の前に定例の食事会が模様されるが、それもしばしば忘れるけれども、会員仲間からは心から尊敬されていた。

 キャベンデイシュは科学の分野で、広範な研究をするが、根が自閉症のため、研究成
果を発表する事が苦手であった。 キャベンデイシュの主なるものを以下に示す。

1)水素の発見、空気および水の組成について
  1766年に水素を発見する。 水素は可燃性ガス( Inflammable air H2 )で、他にも木炭を加熱して今で言うところの一酸化炭素( CO )、金属を亜硫酸または塩酸で溶解し可燃性のガスなどを幾つか見出している。
空気の組成については、正確な定量的な実験を繰り返し、「フロギスタン空気」( phlogisticated air N2 ) 79.2% 、「脱フロギスタン空気」( dephlogisticated air O2 ) 20.8% を見出している。 実際は、前者にはアルゴン( Ar )が1/120含まれているが、それについては100年後のWilliam RamsayとLord Rayleighの研究を待たなければならない。
  水の組成については、水素と酸素の割合を色々変え、火花放電( glass globe をあて物にこする)により発火させ、それを幾度となく繰り返し、最終的に水素( Inflammable air H2 )と酸素( dephlogisticated air O2 )の割合が2:1であることを見出している。

2)地球質量の推定について
  1796 - 1798年に地球の質量を推定により計算し、その重さを5.97x1027 tons としたが、その後、20世紀まで、正しい値として用いられ、現在の推定値との誤差は1%である。

3)電気の性質について 
  電気科学の分野でも幾つかの輝かしい成果をあげているが、発表が苦手なため、後
にJames Clerk Maxwellが100年後の1879年に発表するまで世に知られなかった。
電気ポテンシャル ( electric potential )の概念について
電解容量 ( capacitance )の概念について
物質の誘電率 ( dielectric constant )の概念について
電気ポテンシャルと電流の関係、現在のOhm’s Lawについて
二つの電荷の間に働く電気力は二つの電荷の距離の二乗に逆比例する関係、現在のCoulomb’s Law について、

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